コーチングに出会い、クライアントとしてコーチとして日々コーチングにかかわっている。
コーチングに出会う前の私は、正解を求めてさまよっていた。
自分よりパワー(権限)のある人が求めていることは何か。
あの時、何をどうすればよかったのだろう。
同じ失敗をしないため(正解を得るため)に必要な知識やスキルとは?
原因と結果、という見方にとらわれていたし、予測できる事が大切だと教えられていた。
それは小さな子供のころに父が言っていた「一を聞いて十を知る」という格言にも表わされる、日本人の古くからの在り方でもあるように思う。
「一を聞いて十を知る」ことを要求する世界には、「〇〇とは”普通”、こういうものだ」とか、「〇〇したら”普通”こうなるでしょ」というある程度の前提や常識と言われるものが横たわっている。
コーチングを学び始めてから、「あなたは何を感じているの?」「あなたはどうなりたいの?」「あなたはどうしたいの?」と聞かれるようになった。
それまで「相手の中の”普通”」や、「今どうしたら、自分がまずい状況に陥らないか?=どうするのが正解か?」にばかり意識を向けて生きてきたので、
本当は自分がどうしたいのか?について考えることは、使ったことのない筋肉をトレーニングするようなものだと感じた。
そりゃそうだ。物心ついたころから、わがままを言ってはいけない、自分のことばかり言ってはいけない、人には優しく、などと教えられてきたのだから、
自分がどうしたいのか?なんて誰も問いかける人はいなかったし、もはや「自分」は殺していたのだから。
唯我独尊的な排他的自己愛は世界を狭めるし、可能性を崩壊させてしまう事の方が多いと思う。
でも、自分が本当に大切にしたいことは何だろう?や自分は何(をする)者か?というアイデンティティをしっかりと握る事と、我儘や、過剰な自己愛に基づく力の乱用とは全く別のものだ。前述の問いは、まさに自分は何者か?を明らかにするために欠かせない、大切な問いだった。
「自分」を自分の内側に感じられるようになると、盲目的に誰かの正解を求めなくなる。
「ステークホルダーの幸せに貢献する」という目標をもっていたとしても、「自分」があるのとないのでは行動の質やエネルギーが全く変わってしまう。
そして、そこから導かれる状態(その時点での結果と見えるもの)も大きく変わってくると信じている。
「自分はこうしたい」「自分はこういう事を大切にしたい」「こんな願いがある」ということは、こちらかあちらか、という2者択一の世界ではない。
世界だ。そこには”こちら”も”あちら”もなく、”私たち”がある。
自分の大切なことを大切にできると、相手の大切なことも大切にできるようになる。
その事ができるようになると、自分の外側にある「正解」を探すのではなく、自分の内側の「自分」と相手が満足できるような、「納得解」を「生み出す」事ができるようになる。
コーチングを受ける事は、「ありかた(Being)」を見る事でもある。
Beingは固定されない。なぜなら人は変わり続けるから。
だから社会も変わり続けている。
そして、「なりたい自分(未来)」の目線から今の行動を選ぶ事こそが「ぶれない自分」「自信とともに歩める自分」を生み出すと信じている。
今、変わりたい、何かを変えたい、と感じているなら、まず、自分との関係性から見直してみてほしい。
Comments